Round About Journal Vol.8 レビュー |
質問者側のスタンスがかなり明確になってきたことが起因し、それぞれのインタビュイーが違うフィールドを横断しているにも関わらず全体としてテーマが統制されつつある。
全体のテーマは「マイ・アイデンティティ」と題され、質問者のスタンスがブレていないため、逆にそれぞれの作家性が浮き彫りになっている。つまりはアイデンティティを相対的に顕在化させることに成功している。
議論の環境は内に閉じているが、議論の内容はかなり共有可能な(使用する議論は専門的だが)幅広い文脈に沿っていたと思われる。巷で建築家が議論するような空間性や、敷地との関係をどう考えるのかといった専門的な議論はほとんどなく、その多くがどのように藤村氏の言う「工学的状況」にコミットするか、噛み砕けばどのように一般社会にコミットしていくかという方法論が主な議題であった。
藤村氏の言う広告的段階が近いことを示しているのか。
さらに九州、関西、広島でも議論を広げたことも非常に意義深い。関東圏の建築家たちよりも深い共感を得ていたのは興味をひく。
インターネット空間におけるリンク機能のように、いともたやすく関係性を増殖させる彼らが次に見つけるリンク先は建築界の外側か、あるいは日本の外側か。