パタンランゲージ要約101-150 |
各文章の後ろに記しているものが当該パタンが影響するパタン(=当該パタンよりも下位のパタン)の数字です。
引き続き建物編
101.通り抜け街路
/100/98/95/
高密度に建てられた建物によって屋外に適切な街路を設けられない場合、屋内街路を設けること。
・近道である。
・3.3m以上の幅
・2.1m(外縁部)から6m(中央部)以上の天高を確保すること
・幅4.5m以上の入り口
・諸機能の窓口は外縁に張り出す
・天井部はガラスが理想
/158/100/102/124/149/180/190/135/194/237/123/
102.見分けやすい入り口の集まり
/98/
入り口が集合を形成するように配置すること。
・見渡せる窓口
・受付の接点から次の受付へ
・皆似通った作りであること
/110/112/130/149/
103.小さな駐車場
/32/37/41/51/53/98/97/22/
広大な駐車場は人間の土地を台無しにする。
駐車場の規模は5-7台とすること。それぞれ庭囲い、植栽等で目隠しし、30m以上の間隔で分散させること。
/98/106/171/173/
104.敷地の修復
/95/96/98/
建物は最良の場所ではなく最悪の場所に建てられなくてはならない。
最も美しく貴重な場所はそのまま残し、新しい構築物は最も不健全な区域に建てること。
/171/105/106/169/172/107/109/
105.南向きの屋外
/104/
建物は常に屋外空間の北側に配置し、屋外空間が南向きになるようにすること。建物と日当りの良い屋外の間に広い日陰の帯を残さないこと。
/111/106/107/128/162/161/
106.正の屋外空間
/105/107/
図としてのヴォイドを意識すること。
非凸型ではなく凸型の平面形とすること。
囲まれすぎているものは分解し、非凸すぎるものは凸凹な表面にすること。
/107/171/173/174/114/122/160/115/118/121/163/172/
107.光の入る棟
/105/106/75/76/77/78/80/81/82/83/87/
人工光ではなく自然光を中心に建物を考えること。
建物の奥行きは6-7.6mを超えてはならない。どんな内部でも窓から3.6-4.5m離れると自然光が届かなくなる。→細長い形状へ
外周部の増加はコストにさほど影響しない。
/106/108/159/116/119/132/205/
108.つながった建物
/95/106/107/
ローマの225の教会のうち独立したものは僅か6つ。
できれば、周囲の既存建物とつなげて建物を建てること。隣地とのコミュニケーションが発生し、無駄な隙間は消える。
/115/119/163/
109.細長い家
/107/
与えられた一定面積で最大限の広さを獲得する形=細長い形
小さな建物では部屋をひとまとまりに固めず、部屋間の距離が最大になるように数珠つなぎに並べること。水平に処理すれば細長い長方形になるし、垂直に処理すれば高くて細い塔状建物になる。
/106/127/116/129/
110.正面玄関
/104/105/107/98/102/
正面玄関は見えやすい位置に、分かりやすい形で配すこと。
/102/130/112/97/113/
111.見え隠れの庭
/37/38/41/79/95/105/104/
庭は賑わいのある街路に面していても、完全な裏庭となっても使われない。街路に対して、家の側面に配し、半分隠れ、半分露出するような状態とすること。
/110/173/172/112/15/118/140/
112.入り口での転換
/53/102/111/
街路と玄関の間に転換空間を設けること。内部と外部、プライベートとパブリックの間には切り替えが必要である。方向や高さなどを劇的に操作すること。
/134/173/135/174/130/127/
113.車との接続
/110/112/
主入り口と車との間に副入り口を設けてはならない。近い方が優先され主になる。その間の空間は到着と出発を指示するような積極的な場所に設えること。本当の部屋とすること。
/127/129/163/205/112/119/120/245/162/
114.段階的な屋外空間
/104/105/106/
人が居心地いいと感じる空間は
「背面」と「より大きな空間への眺望」があることである。
屋外空間を作る場合、以下の二点に留意すること。
・その空間の自然な背面を形成する、より小さな区間を少なくとも一つは用意すること。
・その空間の少なくとも一つの開口がその空間よりも大きな空間に通ずること。
/176/111/124/61/140/49/51/60/67/7/
115.生き生きとした中庭
/106/114/
現代建築の中庭は、大抵死んでいる。
その原因として、
・つなぎの空間がないこと、突然の変化はためらいを生じさせる。
・中庭へのドアが少ないこと。中庭を通過させるためには少なくとも2つのドアが必要。
・閉鎖的すぎる。
見通しがあり、少なくとも2、3カ所のドアを設け、部分的に庇をかけた開放的な中庭を
配すこと。
/119/166/167/161/114/134/163/173/209/126/
116.カスケード(段状の滝)状の屋根
/95/96/99/107/
カスケード状の屋根は様々な観点から有効である。
・機能との対応:中央は人が集まり、天井が高い空間となり、それを囲む小さな空間とで構成。
・構造:圧縮に強い逆懸垂線状になる屋根を支える一つ下位の屋根がその屋根の控え壁の役目を果たす
・屋上庭園を設けるとすると、段々状に地面から連続する外部空間が出来る
光の入る棟/107/との併用が必須。
単一の建物、または複合建物全体を屋根のシステムとして視覚的に捉えること。
/117/118/190/205/209/
117.守りの屋根
/107/116/
屋根と生活空間は解離してはならない。
陸屋根よりも傾斜屋根の方が守られた感覚を想起させる。建物を見ると言うことは屋根を見ると言うことである。屋根の縁は歩行者の手が届くくらい低くすること。内部空間から屋根の形状が把握可能な空間とすること。
/220/145/119/166/118/231/209
118.屋上庭
/117/107/116/
ほとんどすべての屋根の一部は屋上庭園として使えるように陸屋根とする。内部の部屋と同じレベルとし、内外の連続性を高めること。
/107//140/167/161/244/163/177/245/246/
119.アーケード
/116/100/108/98/
アーケード:建物の外縁部にある半屋内で半屋外的な庇付きの歩道
奥行き2.1m以上、端部の天井は低くすること。
建物の外縁に歩行路があるときは積極的にアーケードを利用すること。
/190/117/226/224/227/160/193/205/211/
120.歩行路と目標
/95/107/106/119/36/52/98/
歩行路は中間目標を数珠つなぎにできるような配置とすること。
つまり、まずいくつかの目標を設定し、それを歩行路でつなげていく。目標間の距離は60-90m以下とし、目標の回りは舗装を広げること。
/102/110/171/241/245/126/121/247/
121.方向路の形
/31/33/52/55/100/120/
歩行路は基本的に人を流すためにあるが、留まれる場所を用意すること。
そのために、端部を細くし真ん中にふくらみをつけること。
/122/123/119/124/69/164/
122.建物の正面
/95/107/106/119/121/124/
壁面後退は用いないこと。建物が歩道から離れても死んだ空間ができあがるだけである。
/160/140/166/158/164/165/242
123.歩行者密度
/31/61/100/101/121/
一人当たりの面積が14㎡であれば活気があるが、47㎡を超えると死んだ空間となる。そのためには利用時間帯の平均人数を割り出す必要がある。
/88/124/125/140/160/164/165/166/
124.小さな人だまり
/31/61/69/100/101/121/
公衆が集まる広場のような場所の外縁には小さな人だまりができる場所を用意し、広場の外縁が貝殻のそれのように計画されること。
/120/119/163/174/241/243/122/92/93/88/150/
125.座れる階段
/61/106/121/102/110/158/
人は公衆より高い場所で眺めていたいが、同時にその公衆に帰属していたいという
側面も持っている。よって公共の場所に対しては2、3段の階段を用意し、人々がくつろげる場所をつくること。
/241/248/168/
126.ほぼ中央の焦点
/61/67/115/121/124/125/
上記にあるが公共空間においてはヴォイドを囲む外縁部のあり方が重要である。しかしながら当然中心にもなんらかの操作が必要である。
公共広場、中庭などの場所には、そこを横切る自然な道筋は残しながら、中央に何か(噴水、彫刻、立像、時計など)を設けること。
/120/62/63/64/69/71/171/243/
127.親密度の変化
/107/96/110/
建物内の空間は親密度によって序列づけられていること。つまり、玄関と最も公的な部分から始まり、最も遠くに最も私的な空間を用意すること。
/129/130/141/144/142/149/152/
128.屋内の陽光
/105/127/
室内の雰囲気の決定要因に太陽に勝るものはない。建物の中の最も重要な部屋を南側に配置し、建物は東西に長い形状とすること。高温多湿地域では縦横比1:3とする。
/161/163/236/138/162/199/157/183/
129.中心部の共域
/127/128/116/
あらゆる建物はその建物を使用する集団の共有空間を有すること。
その共有空間は
・建物内の主要動線に接すること。
・建物内の誰もが等しく利用出来る重心に位置していること。
・玄関から個室への途中に置くこと。
/139/147/181/159/191/142/163/119/131/132/
130.玄関室
/102/110/112/113/140/
到着したり出発したりする瞬間は、時間が膨らんで感じられる。
玄関室には
・前もって戸口に誰がいるか知りたいが裏から回るほどではないので窓を設ける必要がある。
・風雨を凌ぐため、玄関室の外側は三方を壁で囲むこと。
・明確な別れを演出するために 1.8㎡以上の広さとする
・玄関での作業を助けるため脇には棚を用意すること
・玄関室から奥は覗けないような構成にすること
/102/166/242/135/159/237/202/142/201/191/
131.通り抜け部屋
/127/129/
できるだけ通路の移動は避けること。そのかわり公的な部屋や共有室を人の移動や集合に利用すること。このために共有室はいかなる私室からもつながったチェーン、環状とすること。移動には余裕を持たせること。
/132/130/133/134/135/159/196/
132.短い廊下
/131/101/98/
廊下は短く(15m以下)すること。光を積極的に取り入れ(壁面全面採光が理想)
、家具やイスを置けるような空間とすること。
/159/179/180/197/198/163/166/222/194/237/191/
133.舞台のような階段
/110/131/132/
階段も廊下も空間であり、生き生きとさせなければならない。人が多数いる場所ではレベルの変化が重要な役割を果たす。階段は建物の中心部の玄関から程よい距離の場所に設けること。部屋の壁に沿わせること。階段の下段を張り出し、座って会話に参加出来るような会談とすること。
/125/134/135/195/191/
134.禅窓
/130/132/133/120/
眺望を獲得したいのであれば、歩行路沿い、廊下などの移動空間に設えること。決して居住部からはその眺望が目に入らないようにし、チラリズムを保持すること。
/221/135/180/
135.明暗のタピストリー
/131/132/133/134/
均質な光の空間は舞台を演出しない。 光の先に重要な場所があるような配置とし、明暗の強弱を出すためにそれ以外の場所には暗い場所を設けること。
/180/250/252/
136.夫婦の領土
/75/76/77/127/
子供に生活を支配されないために、夫婦の領域をしっかりと確保すること。
/185/159/187/138/189/144/191/224/198/
137.子供の領土
/76/129/137/68/
子供の世界を一つの連続した帯の中に閉じ込めること。共域と接し、私室とは隔離すること。
/139/157/144/143/132/163/
138.東まくら
/127/136/137/128/
人間の生活リズムは太陽によって決まっており、起床も太陽に起こされるのが最も望ましい。よって寝る場所は朝日のあたる(ベットには直接あたらないようにする)東側に設けること。
139.農家風キッチン
/129/147/
台所の隔離と女性差別は一致しており、女性が復権した今、キッチンは家の中心に配すことで家族の媒介として機能する。昔の農家の台所は調理と食事が完全に統合されていた。よって、台所はやや広めにし、家族室を取り込めるようにすること。大きなテーブルを部屋の中心におくこと。
/159/184/199/179/182/200/201/142/191/
140.街を見下ろすテラス
/129/142/111/51/100/
家と街路の関係は完全に開くか、完全に閉じるかのいずれかしかない。良い家は両方を体験出来る。ライトのチュニー邸では家の前に広いテラスが設けられ、住民優位の空間構成となっており、プライヴァシーを選択できる。共用室を街路に面する広いテラスに向けて開放し、テラスは街路よりも少し高くすること。
/169/243/173/193/163/
141.自分だけの部屋
/127/75/76/77/129/
たびたび一人になる時間がなければ、他人とは親密になれない。
とりわけ大人には自分だけの部屋を用意すること。どの場合も共域から離れた位置に配すこと。
/129/188/189/157/179/183/154/155/253/159/191/
142.くつろぎ空間の連続
/127/
親密度の変化に対するくつろぎ空間のシークエンス
1.玄関の外側-玄関室(130)、玄関先のベンチ(242)
2.玄関の内側-玄関室(130)、親しみやすい受付(149)
3.共用室-中心部の共域(129)、短い廊下(132)、農家風キッチン(139)、小さな集会室(151)
4.半私的な部屋-子供の領土(137)、街路を見下ろすテラス(140)、半私的な事務室(152)、アルコーヴ(179)
5.私的な部屋-夫婦の領土(136)、自分だけの部屋(141)、庭の腰掛け(176)
人は特定の座る場所、くつろぐ場所を想定しがちであるが、本来、どこにでもそれは発生しうるものであり、出来る限りの多様な場所を用意しなくてはならない。そのために建物全体に格付けをしたくつろぎ空間を設け、格付けに応じてプライヴァシーを制御すること。
/129/130/146/140/136/139/141/152/134/180/181/185/241/
143.ベッドクラスター
/136/137/138/
子供は個人の部屋が必要であるが、寝る場所に関しては孤立させない方が得策である。個室で寝る子供でも、ドアを開けて、大人の会話を聞きながら眠りにつくのを好む傾向にあるl。子供たちは隔離と接続の両方を特に欲しているのである。従って子供たちのベッドは共用の遊戯室を囲むアルコーブ状の小部屋に置くこと。また、各自所有物をおけるだけの面積を確保すること。アルコーブと共用部はカーテンで緩やかに仕切ること。
/186/188/137/189/198/203/159/191/
144.入浴室
/127/129/136/137/138/143/
現代の入浴は沐浴に過ぎず、本来の入浴は生活の主要な部分を占める日常的、娯楽的、多機能的なアクティビティを内包した生活機能である。
・快楽としての入浴
・プライヴァシーの概念の変化(客人とも裸をともにできる)
・一目に触れない場所も必要
・便所と浴室の間を裸で行き来できること
・夫婦の寝室から近いこと
・寝室を通らなくても浴室へ入室可能であること(客人用)
すなわち、以上の条件を満たし、家中のシャワー、浴室、便所、洗面台を集約し、私域と共域の中間に配すこと。
/159/238/173/71/178/191/
145.大物倉庫
/76/80/87/95/
家や仕事場には、常に大物を収納する空間が必要である。従ってあらかじめ建物の面積の15-20%は確保すること。仕上げは安上がりで良い。
/117/169/215/153/162/
146.柔軟な事務空間
/80/82/127/129/
現在の対応:
可動間仕切り=遮音性不十分、高価、実際動かさない
一室空間=事務作業者は小さな空間を望む
住宅のような使い込める空間が適している。
柱だけあれば、間仕切り壁は適宜釘で打つだけで良い。
柱は中央空間と側廊を形成するようにグリッドを配する。可動間仕切りよりは恒久的で、構造壁よりは可変的な壁が適している。
/159/190/226/148/152/149/147/
147.会食
/129/75/80/
会食はどの文化圏においても重要な儀式である。
・出会いのプロセスは人間集団の重なり具合に依存している
・なわばりと飲食に依存している
従って会食が制度化している集団では出会いが発生しやすい。
すべての組織や生活集団に会食できる場所を用意すること。会食を定例行事にすること。交代で料理当番により積極的なコミュニケーションが生まれる。
/148/151/139/182/
148.小さな作業集団
/80/146/
6人以上が作業するとき、無理矢理大人数で作業するよりも空間を分割して少人数で作業する方が効率的である。大きな部屋では自分の重要性を実感出来ず、監視されているという強迫観念に陥る。
高野隆のオフィス調査「秋田県庁の設計」=5人が適切。(2-6人)
小集団同士の交流は共有部においてなされるよう配置すること。
149.親しみやすい受付
/80/81/91/146/130/
入り口のすぐそばに客を歓待するもの(ソファ、暖炉、コーヒーなど)を並べ、受付机は受付と応対スペースの間ではなく、一方の隅に置くこと。
/181/183/159/150/179/180/135/191/
150.待ち合わせ場所
/34/47/81/82/
待合室では自由を確保し、待つ以外の活動と融合させること。にぎやかなものと静寂なものの双方を用意すること。
参考文献「パタンランゲージ」C・アレグザンダー著 鹿島出版会