日本における住宅の密集について |

日本の、特に人口密集地における住宅地の風景は均質であり多様である。見窄らしい郊外住宅地のそれとは違い、集まることでどこか魅力的な風景を作り出している。
特に、俯瞰で住宅地を眺めてみると一戸一戸が厳密には違う屋根形状や違う壁の色を有しながらも、同じ仲間たちが密集しているという感覚を得る。ヨーロッパでは一つ一つのヴォリュームがくっついていて大きな塊になっているために、集合しているというよりも物質としての存在感を(歴史的な事実とともに)感じさせる。
日本の住宅地において、一つ一つ独立しているものが高密に集まるという事実は建築基準法から創出されているが、眼前に現れている風景は、その原因よりも結果として(庭の構成や、セキュリティの徹底、外観と機能の相互認識、規格化された窓や屋根、など一つ一つは魅力的といえないものそれぞれが独立して、且つ密集している風景として)現れる。
ミクロな視点から見る諸要素はその姿を外部にさらけ出すことで、住宅の独立性を担保し、それらが住宅の密集という事実を際立たせているのである。
一見、相反する二つの事象、「独立」と「集合」が同時に成り立っていることこそ、日本の住宅地における最大の矛盾であり、魅力であろう。